「えぇ!! ユニウスセブンが!?」

「地球への落下コースだって、バートさんが・・・・」

「でも、あれは安定軌道のはずよね?」


何でそれが地球に・・・・・・。
メイリンが持ってきた情報を元に、休憩室にいたにシンたちが意見を求めに来たのだった。
胸の前で軽く腕を組んで、は難しい表情を浮かべる。


「やっぱり砕くしかないのかしら」

「でも・・・あそこは・・・・・」


わずかに目を伏せてメイリンが口篭る。
あそこにはまだ、たくさんの人たちが眠っているのだ。
そんな場所を砕くなんてことはいいことなのか、そう考えているのだろう。


「だが、あのままぶつかれば地表は壊滅だ」

「地球滅亡・・・ってこと?」


ルナマリアの一言に、その場にいた者たちは顔を見合わせる。
考えていたよりも事態は大きい。


「まぁ、でも仕方ないよな〜。不可抗力だろ?」


軽はずみなヨウランの言葉をが咎める前に、乱入するように怒鳴り声が響いた。

















時の砂 〜運命の邂逅〜 4


















「砕くしかないな」


どうすればと意見を求めてくるカガリに、アスランが告げる。
それしか方法はないのだが、アスランの脳裏にはあの日に起きた出来事と母、レノアの優しい笑みとが浮かんでは消えていく。


「だが・・・・」

「カガリの言いたいことも分かるさ・・・・でもやるしかないんだよ」


お前はいいのか?
そう言いたそうなカガリの表情が、アスランの胸に刺さる。
割り切った過去のこと、そう言うにはまだ辛い現実。
しかしだからと言ってそうしなければ、地球への被害は計り知れないものとなるだろう。
話をしながら通路を歩いていると、数名のものと思われる声が聞こえてきた。
そのまま前へ進むと、休憩室らしき場所で話をしている者たちが見える。
どうやら話題はアスランたちと同じくユニウスセブンのことのようだ。


「まぁ、でも仕方ないよな〜。不可抗力だろ?」


ふと聞こえてきた軽はずみな発言に、アスランがカガリを咎める間もなく彼女は駆け出してしまう。


「よくそんなことが言えるなっ、おまえたちは!」


またか・・・と心の中で呟きながら、アスランはカガリを追った。
どうやら事態は深刻化していく一方のようで、同じく困ったような表情のと目が合う。
ここではアスランはアレックススとして振舞っている以上、彼女とは他人として接しなければならない。
カガリもカガリなりに頑張ってはいるのだが、彼女の悪いところは思ったことをすぐ口にするところだろう。
今回のことだってそう。
彼だってきっと本気で言ったわけではないはずだ。
それは少し考えれば分かること。


「別にヨウランだって本気で言ったわけじゃないさっ」

「・・・・っ」


鋭い眼光がカガリを射抜く。
しかし彼女も伊達に国家元首をしてはいない。
若干18歳というとして国を背負うものとして、大人たちの中で戦ってきたのだ。
頼れるものもいない孤独の中で・・・・・・・。


「カガリ、もうやめろ」

「シン言葉を慎みなさいといつも言っているでしょう」


カガリを宥めるようなアスランの声が響くのとほぼ同時に、はシンの肩を軽くたたいた。
に叱られたことにより、シンは大人しくなる。
しかしカガリに向けられた視線が緩められることはなかった。
敵意を剥き出しにし、カガリもまた怒りを抑えられないようだ。
そんな両者の様子にどうしたものかと、内心ため息を吐いてしまう。


「キミはオーブがだいぶ嫌いなようだな・・・先の戦争で家族を失ったという話だが・・・・・」


カガリを庇うように、アスランが一歩前に歩み出る。
挑発的な視線を向けるシンに、彼は今何を思い、そして感じているのだろうか。
シンの言っていることは全てが間違っているというつもりはない。
それでも軍人であるならば、言葉に気をつけるべきだ。
アスラン自身元軍人である身だから、きっとそれを感じているのだろう。


「個人的感情だけで代表を侮辱するようならば、ただじゃ置かないぞ!」

「失ったんじゃないっ!!」


怒りを露にし、シンは鋭い眼光をアスランへ向ける。


「俺の家族はそいつの親父・・・アスハに殺されたんだ!」


その場にいた者たちの息を呑む声が聞こえる。
驚きに目を見開くカガリと同じく、アスランとも驚きを隠せなかった。


「俺はもうオーブなんて国は信じない、アンタ達のいう理想も信じないっ!」


彼はあのときに・・・・・・・・。
三人の脳裏に蘇る光景は、悲惨としか言いようがない。
平和を愛し、自国の理念を貫き通したウズミの意思。
それを受け継ぐ彼らだからこそ、衝撃は大きかった。


「アンタ達はあの時自分達の言葉で誰が死ぬことになるのか考えてたのかよっ!?」


そう叫び、シンが飛び出して言った後、その場に残ったのはただ重い空気だけだった。
シンの後に続くように、ルナマリア達が敬礼をしながら退室していく。
は初めて、シンの背負っていた悲しみを知った。
そして同時にあの時何の力も持たなかった自分を責める。
彼にかける言葉も見つからず、そして今、傷ついているだろうカガリを慰める言葉も分からない。


「部屋に戻ろう、カガリ」


ポンとカガリの肩に手を置いて、アスランが声をかける。
その声に我に返るまで、はずっと唇を噛み締めていた。


































ちょっとずつですが、話が進んできましたね^^
ちなみに参考資料は"THE EDGE"です!
早くアスランとお話させてあげたいのですが、中々そうもいかず・・・・・。
でもユニウスセブン破砕作業前には会話させてあげたいです><

05.11.04