どうして邪魔するの?






ただ穏やかに暮らしていきたいだけなのに











私はまた・・・・・過ちを犯そうとしています・・・・・・・




















時の砂 〜運命の邂逅〜 2























何度か足を踏み入れたことのあるミネルバの艦内。
けれどはさっそく迷子になっていた。


「・・・・ここどこ〜?」


これでも方向音痴ではないはずなのに。
情けなくも迷ってしまったのは、考え事をしていたからなのだろうか。

アスランに会いたい・・・・・・。

今まで一度だって欠かすことのなかった一週間置きの通信。
ところが今回は用事があるから、と連絡できなかった。
本当は毎日でも話していたい。
否、いつでも一緒にいたい。
そう願っているのに、離れることを望んだのは自分だから我侭は言えなかった。
寂しさを埋めるのは忙しさだけだから。
そんなことを考えながら、トボトボ艦内の通路を歩いていた。
すると突然艦が揺れる。


「きゃあっ!?」


下から突き上げてくるような衝撃に、の足は離れた。
迫ってくる壁に目を瞑り衝撃を覚悟する。
しかし訪れたのは痛みではなく、人の温もりだった。


さん、大丈夫ですか!?」

「・・・シ・・ン?」


後ろから抱きしめられるような形で抱きとめられていた。
背中越しに見えたのは紅の瞳。
フワリと揺れる前髪はと同じく漆黒で、まだ幼さの残る顔立ちの少年だった。
パイロットスーツに身を包むその姿は、に不安を与えた。
先程の衝撃と、彼――シン・アスカの姿から予測されるのは何か重大な出来事がおきているのでは、ということだ。
シンはが指導する赤のメンバーの一人で、その腕前は中々のものだとは考えている。
とはいえ、それが戦場で生かせるかと問われれば否だ。
データと本物の戦闘はわけが違う。
コンピューターという限られた動きとは違い、相手は生身の人間。
なにをするかわからない、予測の出来ない動きは素人にとって戸惑い以外の何者でもないだろう。
自身それを経験したことはないので、偉そうなことは言えないけれど・・・・。


「なにがあったの?」

「俺も詳しくは知りません。でもMS三機と交戦中らしいです」

「・・・・じゃあ、急がなければならないのね・・・・・」


引き止めてしまってごめんなさい。
そう謝ってから、はシンに格納庫まで連れて行って欲しいと頼んだ。
一瞬驚いたように目を見開いた後、呆れたような顔をされてしまう。


「また迷子ですか?」

「情けないとは思うけど・・・・そうなの」


乾いた笑いを浮かべながら、一転して真剣な表情を浮かべると格納庫へと急いだ。


















「ヨウラン、ビィーノ!!」


格納庫へと連れてきてもらったは、出撃するシンの側を離れ、馴染みの顔である二人に近づく。
まだまだ子供っぽい仕草のビィーノと、対照的に大人しそうな雰囲気のヨウランはMS技術スタッフだった。


「いったいなにが起こってるの?」

「新型MSが何者かに奪取されたんだよ」

「なっ・・・・・!?」


の脳裏に蘇るのは、2年前の映像。
中立コロニー、ヘリオポリスでの作戦は、地球軍が秘密裏に製造している新型MSの奪取だった。
また戦争が起きようとしている。
悔しさに唇を噛み締めるけれど、今はそれ所ではない。


「ヨウラン、ブリッジに繋いでもらえる?」

「あ・・・ああ」


兎に角情報がない限りはどうにもならない。
かといってMSに乗れないが出来ることはないのだ。
そんなことわかっている、けれどそれでも何かをせずにはいられなかった。


「ほい、

「ありがとう」


しばらくして、ヨウランから通信機を渡される。
それを受け取ると、は艦長に繋いでもらい、情報を求めた。


「艦長、どうなってるんですか?」

『私も詳しいことはわからないの。でも、緊急事態なのは確かよ』

「そうですか・・・・・無理をいってしまって申し訳ありませんでした」


落胆した表情で通信を切ると、は気を引き締めるために頬を叩く。
結局なにも情報は得られなかった。
やっぱり待っているしか出来ないのだろうか。
そこまで考えて、は2年前を思い出していた。
これは以前自分たちがやったことを真似されたに過ぎない。
だとすれば、必ず外に母艦がいるはずだ。
少しでも自分の知識が役立てば・・・・そう思いブリッジに向かおうとした。
けれど・・・・・・・・。


は考えすぎ」

「・・・・ビィーノ」


肩にポンと手を置かれ、ニッコリと微笑まれる。
その笑顔を見ると、なにをそんなに慌てていたのだろうか、気持ちが落ち着いていくのを感じた。


「おい!! お前ら、こっちきて手伝え!!」


どうやら落ち着いて話をしていられる状況ではなくなってきたようだ。
慌てて走っていくヨウランとビィーノの背中を見つめながら、はある一角で整備したちがざわついているのに気付いた。


「どうし・・・・・」

「なんだ、お前たちは! 軍の者ではないな、何故その機体に乗っている!!」


より先に、ルナマリアの声が響く。
その目線を追っていくと、そこには片腕をなくしたザクがあった。
けれどそれよりも、その足元にいた二つの人影に、は衝撃を受ける。



アスラン・・・・・・っ!?



それはが今、最も会いたい人だった・・・・・・・・。























一話目は本編が始まるちょっと前、のお話だったんですが、
今回はアニメの第一話に突入したかな?ってところです。
微妙にアニメとは違うなって所はあると思いますが(順番とか)
その辺は大目に見てやってください><
ヒロインはヨウランとビィーノとは仲良し設定(笑)
次回はアスランとヒロインが会話してくれるかな〜?

05.09.18