このまま穏やかな時が続くと信じていた。
けれど世界はまた、混沌の闇に落ちてゆく。
やっと手にした平和は、偽りでしかなかったのだろうか・・・・・・・。
時の砂 〜運命の邂逅〜 1
響く靴の音は、辺りの視線を集めた。
フワリと揺れるピンクのスカート。そこから覗くスラリと伸びた白い足。
艶やかな黒髪は、見る者を魅了する。
「はぁ・・・・やっぱり慣れないわ・・・」
短すぎるスカートもだが、それ以上に自分が赤を着ているということに。
は本来MSには乗れない非戦闘員で、けれど成績だけは優秀で――MS戦を除いて――アカデミー卒業時、赤にといわれていたこともある。
しかし父がそれを勝手に辞退してしまったのだ。
とはいえ、自身断るつもりでいたのでかえってよかったのだが。
注目されることは好きではない。
ましてや赤なんて・・・・・・・・・。
おまけに議長直々にということだから、在らぬ噂も立てられてしまう。
今だって、ボソボソと声が聞こえてくるくらいだ。
「なぁ・・・彼女だろ? 議長を誘惑して赤にしてもらったって」
「羨ましいよな〜、俺たちにもその方法伝授してほしいくらいだぜ」
いやらしい顔でを舐めるように見つめる。
それでも弱音を吐くことは許されない。
そう思われても仕方のないことだし、彼女のことを理解してくれる人もいるのだから。
幸い配属先のミネルバには、そういう考えの人がいない。
それだけでも心の救いだった。
最後にその二人を睨みつけ、足早にその場を去った。
「さん!」
「ルナマリア、どうしたの?」
「いえ、特に用はないんですけど・・・・」
ダメでしたか?
申し訳なさそうに微笑む少女はルナマリア・ホーク。
が指導するメンバーの一人だ。
彼女はと同じ、ピンクのスカートを着ている。
本当のことを言えば、がこんな短いスカートをはいているのは彼女が原因でもあった。
は動きやすさからズボンでいいと、そういったのだがルナマリアは私とおそろいにしませんか、といってきたのだ。
それを無下に断ることも出来ず、ちょっとはいてみたいなとは思っていたので、今に至るというわけである。
とはいえ、こんなかっこしてるだなんてアスランにバレた日には・・・・・・。
考えるだけでも恐ろしい。
「今日はミネルバの進水式よね?」
「はい、そう聞いてます」
「だったら、ルナマリアにはやることがあるでしょう?」
こんなところで油を売っていていいの?とは促した。
「あ、そうでした!」
「ふふ、私は先にミネルバにいっているわね」
慌てた表情のルナマリアが可愛くて、は思わず笑みを浮かべた。
けれどそれに気付かず、ルナマリアは踵を返すと大急ぎで走っていく。
「そんなに急ぐと・・・見えちゃう・・・・かも」
苦笑しながら彼女を見送ると、もミネルバに向けて歩き出した。
「おい、アスラン! に会えるぞ!」
「・・・・・カガリ・・・・君は仮にも一国の首長だろう・・・」
彼女に上品という言葉はないのだろうか。
今更ながらに、アスランは溜息をつく。
けれどカガリはそんなことより、とアスランが弄っていたパソコンの電源を切った。
「あーーー!! 何するんだ、カガリ! データが消えたじゃないかっ」
「そんなものまた作ればいいだろう?」
「3日も寝ずに徹夜して作ったんだぞ・・・・・」
相変わらずなお転婆に、いつも振り回されるのはアスランだ。
こんな時ほど、が側にいれば・・・・と願わなかったことはない。
・・・・・・・・・・?
「カガリ、に会えるっていわなかったか?」
「だからさっきから言っているだろう?」
「どういうことだよ」
「プラントで極秘会談をすることになったんだ」
だからに会えるぞ。
そう言って笑顔を向けるカガリ。
しかしアスランはどうしてこう、短絡思考なのだろうかと、また溜息をついた。
お前らは間違いなく双子だよ・・・・・・。
それは心の中だけの呟きだった。
「あのな、プラントにいったからって会えるとは限らないだろう? おまけに自慢しなくったって・・・・」
俺だってに会いたいんだ、と羨むようにカガリを睨んだ。
するとキョトンとした表情になったカガリは、さらりと爆弾発言をする。
「なにをいっている。お前も行くに決まってるだろう?」
「・・・・・・俺に拒否権はないわけ?」
「当たり前だ! それに護衛のお前が行かないでどうするんだ?」
もう少しいろんなことを考えて欲しい。
そう願ったところで無駄に終わる事はわかっているが、それでもアスランは溜息を吐かずにはいられなかった。
今回は毎回あとがきを書くことにしました^^
運命編ではギャグ3割、シリアス7割でいこうかと思います!
前回の種編では、ヒロインにあまりにすることがなくて、思いっきり展開を
飛ばしまくりだったので、今回は多少強引ですが赤になってもらいました。
ディアッカは降格してるのにね・・・・・(笑)
ヒロインは、色々思うところがあって、ザフトに戻りました。
といってもそれは物語の展開上、そっちの方が都合がいi・・・・・(げふん)
感想とかいただけましたら嬉しいですv
05・09.09